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救急体制を守るための料金改定──米国ミルブルック市が救急車料金を見直し

米国アラバマ州ミルブルック市議会は、6月23日の会議で救急車料金の改定を承認しました。救急サービス料金の値上げは、同市では2013年以来、実に10年以上ぶりとなります。
今回承認された条例26-04では、救急搬送時に提供される医療的ケアの内容に応じて、料金体系が見直されました。対象となるのは、基本的な生命維持処置であるBLS、そしてより高度な救命処置を含むALSなどです。
一見すると「救急車料金の値上げ」という言葉だけが目立ちますが、弊社が注目すべきだと感じるのは、料金改定そのものではありません。
本質は、救急医療を継続するために、行政がサービスの原価と向き合い始めている点です。
救急車を1台動かすには、車両費、燃料費、医療資器材、人件費、教育訓練費、通信体制、待機時間など、目に見えにくい多くのコストが発生します。にもかかわらず、料金が10年以上据え置かれていたという事実は、救急体制の維持がいかに厳しい環境に置かれているかを示しています。
ミルブルック消防署長のラリー・ブラウン氏は、今回の改定により、近隣のプラットビル市の料金水準に合わせたと説明しています。また、それでも多くの民間救急事業者の料金より低い水準にとどまると述べています。
ここには重要な視点があります。
公的救急であっても、民間救急であっても、救急搬送には必ずコストがかかります。違いは、その費用を税金で支えるのか、保険償還で回収するのか、利用者負担として見える形にするのかという点です。
日本では、消防救急は無料で利用できるものとして定着しています。一方で、転院搬送、通院搬送、退院支援、在宅医療との連携、精神面や身体状況に配慮した搬送など、消防救急だけでは対応しきれない領域は確実に広がっています。
その領域を支えているのが、私たちのような民間救急事業者です。
今回のニュースは、海外の一自治体における料金改定の話ではあります。しかし、救急サービスを「いつでも来てくれるもの」として維持するには、適正な費用負担と制度設計が欠かせないという点で、日本にとっても他人事ではありません。
救急車の料金を上げるか下げるかという単純な話ではなく、地域の救急体制をどう守るのか。
誰が、どの搬送を担うのか。
その費用を、どのように社会全体で支えるのか。
これからの日本でも、公的救急と民間救急の役割分担を明確にし、必要な搬送を必要な人に届け続けるための議論が必要です。
弊社としても、単なる「搬送業者」ではなく、医療・介護・ご家族・行政をつなぐ地域インフラの一員として、持続可能な救急搬送体制の構築に取り組んでまいります。