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韓国SKハイニックスの救急救命士採用に見る、企業内救急体制の重要性

韓国SKハイニックスの救急救命士採用に見る、企業内救急体制の重要性

― 救急救命士は「消防の中だけの資格」ではなく、社会の安全を支える専門職へ ―

韓国の大手半導体企業SKハイニックスが、救急救命士の採用を行っていることが報じられました。

KOREA WAVEの記事によると、SKハイニックスは龍仁、利川、清州の各事業所で勤務する救急救命士を募集しており、応募資格として、救急救命関連学科の専門大学卒業、1級救急救命士資格、普通第1種運転免許の保有などを求めています。勤務形態は4組3交代で、防じん服の着用が可能であることも条件とされています。

特に注目されたのは、記事内で「初任給1億ウォン」と紹介された点です。日本円にして約1100万円水準とされ、子どもの学資金支援、年金保険支援、住宅資金貸し付け、福利厚生ポイント、社員マンションや寮の提供など、手厚い福利厚生も示されています。ただし、成果給や年俸情報については、会社の実績や経営状況により変動する可能性があるとも説明されています。

また、採用された救急救命士は、事業所内で救急患者が発生した際の状態把握、CPR、外傷処置、救急車や救急物品の管理、社内通報、非常事態対応などを担うとされています。

このニュースは、単に「韓国の大企業は待遇が良い」という話にとどまりません。

私たち有限会社高千穂産業 民間救急事業部として注目すべき点は、企業が救急救命士を、単なる医療補助職ではなく、事業所の安全管理・危機管理・BCPを支える専門職として評価しているという点です。

救急救命士は、現場の急変に対応できる専門職である

半導体工場のような大規模事業所では、多数の従業員が勤務し、24時間体制で設備が稼働しています。

そのような環境では、急病、外傷、熱中症、薬品・ガス・設備に関係する事故、心肺停止など、さまざまな緊急事態が発生する可能性があります。

もちろん、重症例や緊急性の高い事案では公的救急、つまり119番通報が必要です。

しかし、119番通報から救急隊到着までの間に、現場で誰が状態を確認するのか。
誰がCPRやAED、止血などの初期対応を行うのか。
誰が救急隊へ正確に状況を引き継ぐのか。
誰が救急資器材を管理し、非常時の社内対応を整備するのか。

この部分を担える人材として、救急救命士が企業から評価されていることは非常に重要です。

日本でも救急救命士の活動領域は広がっている

日本でも、救急救命士の活動場所は少しずつ広がっています。

厚生労働省の資料では、令和3年の救急救命士法改正により、救急現場や搬送途上だけでなく、病院内においても、搬送患者が入院するまでの間は救急救命処置を実施できるようになったと説明されています。

また、厚生労働省の参考資料では、医療機関に勤務する救急救命士が院内で救急救命処置を行うためには、医療安全、感染対策、チーム医療などの研修体制や、実施可能な処置範囲、検証体制、組織内での位置づけを整備する必要があるとされています。

つまり、日本においても、救急救命士は「消防の救急車に乗る人」だけではなく、医療機関や地域医療の中で役割を広げつつあります。

ただし、ここで注意すべき点もあります。

救急救命士の資格を持っていれば、どこでも自由に医療行為ができるわけではありません。救急救命処置には法律上の範囲があり、実施場所、対象者、医師の指示、研修体制、検証体制などが重要になります。

だからこそ、救急救命士を活用する場合には、資格者を置くだけでなく、どのような場面で、どのような役割を担い、どこまで対応し、誰に引き継ぐのかを明確にする必要があります。

弊社が考える「企業内救急体制」と民間救急の共通点

今回のSKハイニックスの採用で示された業務内容は、弊社が日頃から行っている民間救急の業務とも重なる部分があります。

それは、単に患者様を運ぶことではありません。

患者様の状態を観察する。
必要な情報を聞き取る。
急変リスクを見極める。
搬送先や関係機関へ引き継ぐ。
救急資器材を管理する。
記録を残す。
緊急時の対応体制を整える。

これらはすべて、救急救命士の現場経験が活きる領域です。

弊社は、民間救急を単なる移動手段ではなく、消防・医療・介護・福祉を補完する医療系民間救急サービスとして位置づけています。

在宅医療の現場、施設から医療機関への搬送、病院間搬送、受診支援、往診支援、地域福祉との連携など、救急救命士が関わることで安全性と情報連携の質を高められる場面は数多くあります。

今回のニュースは、企業においても同じ考え方が広がり始めていることを示していると感じます。

救急救命士の価値を、もっと社会全体で評価すべきである

日本では、救急救命士という資格の価値が、まだ十分に社会へ伝わっていない面があります。

消防職員として救急隊に乗ることが主な進路とされてきたため、救急救命士の活躍の場は限定的に見られがちです。

しかし、実際には救急救命士は、急病や外傷の初期対応、状態観察、医療機関への情報伝達、現場安全管理、記録作成、関係機関連携などに強みを持つ専門職です。

大企業が救急救命士を高待遇で採用する背景には、単なる福利厚生ではなく、従業員の生命を守ること、事業継続を守ること、事故発生時の初動対応を強化することへの投資という考え方があります。

これは、日本の企業、医療機関、介護施設、学校、イベント運営、地域社会にとっても参考になる視点です。

民間救急は、地域の安全管理を担う社会インフラへ

弊社は、救急救命士の専門性を地域社会の中で活かすことが、今後ますます重要になると考えています。

消防救急は、命に関わる緊急事案に対応するための重要な公的インフラです。

一方で、すべての困りごとを119番だけで支えることは難しくなっています。

急を要するわけではないが、医療的な配慮が必要な搬送。
ご家族だけでは安全に移動できない受診。
在宅療養中の患者様の状態変化。
施設や企業における急変時の初期対応。
医療機関や関係機関への正確な情報共有。

こうした場面において、救急救命士が関わる民間救急には大きな役割があります。

今回のSKハイニックスのニュースは、救急救命士が「消防の中だけの人材」ではなく、企業、地域、医療、福祉、危機管理の分野で必要とされる専門職であることを示す象徴的な事例だといえます。

有限会社高千穂産業 民間救急事業部は、これからも救急救命士の専門性を活かし、消防救急を補完しながら、地域医療と暮らしの安全を支える医療系民間救急サービスを提供してまいります。

参考記事

KOREA WAVE/AFPBB News
「韓国SKハイニックス、救急救命士採用に注目…新卒初任給1億ウォン水準」
配信日:2026年5月24日